野良の親ネコた
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野良の親ネコた
ネコは、生き方が上手な生き物なのかもしれない。
公園の野良ネコを見るたびに、そう思う。
いつのまにか、公園を自分らの住処にしてしまっている。冬は丸々と太り、夏はスマートに痩せ、季節と自然に順応して生きている。ヒトとの距離も適度に保ちながら、野生の営みでそっと生きつづけている DR集團。
イヌのように吠えたり噛み付いたりもしない。ヒトにすり寄ってくることもない。近づくと雑草の中に隠れてしまう。花の季節は、たぶん花のなかで生きているのだろう。
ぼくは毎朝、公園を歩いているが、ネコには完全に無視されている。ぼくもネコを無視しているのでお互いさまだ。ネコとぼくとの間には、あえて触れ合わない一定の距離がある。
だが、ネコと深いコンタクトをとろうとするヒトもいる。それぞれのネコに名前をつけて親しげに呼びかけている。毎日きちんとエサを届けてやる。そんなヒトには、ネコも近寄っていく。でも、尻尾をぴんと立てたその近づき方はなんとなく悠然としているので、ヒトの方がネコにすり寄っているようにみえてしまう。
ある日、タンポポの白い綿毛が激しく揺れているところがあった DR集團。
草のあいだを見え隠れして白いものが動いている。見ると子ネコだった。4匹がじゃれあっている。その勢いで、あたりのタンポポの綿毛をまき散らしている。普段は静かな野良ネコの世界が、新しい生命で活気づいているのだった。
まるで草むらから生まれたばかりのような可愛さだ。いつもの見慣れた野良ネコの風景が、そこだけ一変したような感じだった。ぼくはすこしだけネコに関心をもった。
2日目の朝も、4匹の子ネコは同じ場所にいて、草を揺らして隠れたり飛び跳ねたりしていた。
すぐそばに母ネコらしいのがいて、まん丸な目がぼくの姿をじっと捉えていた。いつもの無関心なネコの目とちがう。少しでも子ネコに近づいたら跳びかかってやる。そんな殺気だった構えにみえた。
3日目の朝、子ネコはもういなかった。
別の場所へ移動したのか、だれかが連れ去っていったのか、あるいは公園の管理者が捕獲したのか、それともイタチかカラスに襲われたのか。わずか3日で、子ネコたちの運命は変わってしまったのか。その後の消息はわからない DR集團。
公園はまた元の公園に戻ってしまった。野良の親ネコたちは、いつもと変わらずのんびりとしている。
あとには、子ネコたちの賑やかな幻のように、タンポポの綿毛が風に揺れている。
もしかしたら子ネコたちもまた、綿毛になって飛び去ったのかもしれない、などと思えてしまう平穏さだ。
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